介護のクレームは危険でありチャンスではない
介護の仕事というと、クレームという言葉とは無縁であるように見えます。
ですが、どんな仕事であってもクレームがあるように、介護の現場でも常に考えていかなければいけないことなのです。
よくクレームはチャンスであるという言葉を使うことでしょう。
しかし、介護の現場では、クレームはチャンスとはなりません。
サービスの質が低いということの表れであり、これをチャンスとして這い上がっていくことよりも、リスクを察知し質を上げてクレームを出さないことが重要なのです。
介護のクレームは、サービスという単位に収まらないことがあります。
怪我をしてしまうこともありますし、大きな誤解を生むことにもつながるのです。
責任がこちら側になくても、不信感を覚えるようになってしまうことにもつながりますので、確実に芽を摘む努力を欠かせないといえるでしょう。
相互理解を進めることで消えるクレーム
介護のクレームの中で、認知症が原因になってしまうケースがあります。
これは、どちらにとっても不幸なケースになってしまうでしょう。
何か介護をしたとしても、そのこと自体を覚えていないことがあります。
お風呂に入ったとしても、入ったことを忘れてしまうかもしれません。
家族からすれば、なぜという疑問が付きまとい、クレームにつながってしまうのです。
ですが、事実ということを考えれば、これはどちらにも非がありません。
もちろん、要介護者である本人に原因があることは間違いありませんが、何もクレームをつけたくてこういった行動に出るわけではないのです。
単純に覚えていることができなかったのですから、非はありません。
これは、詳しい介護の記録をつけてあげればいいだけのことです。
こういったことを怠ってしまうことで、相互理解を進めていくことができなくなり、クレームにつながっています。
クレームにも質がある
クレームとしての質の問題もあります。
要介護者を抱える家族からすると、お金を払っているという気持ちがあることは当然です。
そこで、どんなことをしても預かってほしいといわれることも出てきます。
このどんなことをしてもという言葉には、調子が悪い状態でもといったことがあるでしょう。
しかし、介護は医療ではなく、生活の延長になるのですから、調子が悪い場合には病院にかかるしかないのです。
こういったクレームの発生には、やはり相互の理解度の低さということがあります。
いったいどんな施設なのか、どんな状況が出たときには、どんな対応をするのか、理解されていないためです。
介護する側としても、これを当たり前と考えるのは、あまりに早計でしょう。
理解を高めてもらえる努力をし続けていかなければいけないのですから、もっと理解してもらえる努力が必要だといえるでしょう。